IP Geolocation技術によるアクセス制御の優位点

IP Geolocation技術によるアクセス制御の優位点

IPアドレス情報の偽装や隠匿は難しく、それらを行うとそもそも正常なアクセスが成り立ちません。「ごまかしがきかない」という点は、IPアドレス情報を参照する際の明確な強みです。

例えば、携帯電話からのアクセスと、PCからのアクセスを振り分けたいと考えた場合、多くはUserAgentのデバイス情報を参照します。しかし、UserAgentは容易に隠匿・偽装が可能なため、完全な方法とは言えません。

ここで、IPアドレス情報からアクセスしたキャリアを判定することで、より確実なアクセス制御が可能です。携帯電話からのアクセスの際に使われるIPアドレスは事前に知ることができるため、あらかじめ携帯電話のIPアドレスを調べておき、アクセスユーザのIPアドレスがそれらに合致するかどうかを確かめることで強固なアクセス制御が実現します。

また、IPアドレス情報の隠匿にはしばしば公開プロキシが使われますが、公開プロキシサーバのIPアドレスを事前に調べておくことで、これも同様に「公開プロキシからのアクセスである」と知ることができます。
プロキシサーバについては「プロキシサーバリストって?」で解説しています。

  

地域によるアクセス制御

地域によってWebページやコンテンツを振り分けたり閲覧を制御したいという場合にも、複数の手法が考えられます。
言語切り替えや地図の操作など、ユーザの行動を元に位置を推測する方法、会員制のサイトであれば会員情報と紐づけるという方法などがあげられますが、いずれにせよアクセスユーザが取る何らかのアクションを元に位置情報を推測することになります。
ユーザのリファラから推測する(例:「google.co.jp」から来たら日本のユーザであると判断する)ことも可能ですが、網羅性を高めることが難しく、綿密な計画や判定の仕組みの構築が必要になります。

一方、IP Geolocation技術を使う場合、アクセスの際に使うIPアドレスから位置情報を判定し制御を行うので、ユーザからの能動的な働きかけは必要ありません。アクセスする際に必ずIPアドレスがわかるため、全てのユーザに対して判定が可能であるという点も特徴的です。

 

  

ターゲティング技術の相違と併用

IP Geolocation技術には他の技術とは異なる特徴や長所がありますが、もちろんIPアドレスも万能ではありません。
仮にアクセス元が日本であったとしても、日本にいるアメリカ人であれば日本語ページよりも英語ページを閲覧したいはずですし、東京からのアクセスユーザが、大阪に引っ越すために大阪の情報を求めている場合もあります。このような場合は、ユーザの会員情報や行動履歴を元にした制御やサジェストの方が有用です。

IP Geolocation技術は、手掛かりになる情報が全くないという状態でユーザをサポートする技術として活躍し、ユーザの行動によって明確な目的やニーズがわかればそちらに合わせるといったように、多様な技術の長所と短所を理解して「いいとこどり」することで、ユーザの満足や利便性の向上につながるのです。

 

まとめ

・IPアドレスには、偽装や隠匿が難しいという強みがある。
・IP Geolocation技術による位置判定は、ユーザからのアクションがなくても判定ができ、網羅性が高いという特徴がある。
・多様な技術の利点を生かしながら併用していくことで、ユーザの満足につながる。