IPアドレスターゲティングの優位性

多様なターゲティング手法

Webにおけるターゲティングには、実に多種多様な種類が存在します。

最も一般的な手法が「デモグラフィック属性」を利用したターゲティングです。デモグラフィック属性とは、性別・年齢・居住地域などの個人に紐づくデータや、UserAgentと呼ばれるブラウザ種別・OS・言語などの情報です。
例として、facebookの広告には、ユーザが登録した年齢・性別にあわせた広告を配信するというメニューがあります。

また、年齢や性別という切り口だけではわからない、個々人の興味関心の情報は「サイコグラフィック属性」と呼ばれます。どのWebページをどれくらい閲覧したか、ログイン済かどうかといった情報を使い、ユーザの行動を収集・分析して興味関心の方向を探ったり、あらかじめ持っているデータと組み合わせてユーザ像を推定するといった高度な分析も行われています。

例えば、ページAの閲覧ユーザの多くは女性であるということがわかっている場合、ページをAを閲覧したユーザは女性であると仮定し、女性衣料の広告を表示するという手法が考えられます。

 

技術面から見るIPアドレスターゲティングの優位性

技術的な面からみると、ターゲティングの多くはブラウザが提供する情報を利用しています。これらの情報は、Webサーバに対してブラウザが様々な情報を提供する代わりに、よりスムーズに情報伝達ができるようにするためのものでした。多様な情報が扱えるため応用の幅が広いという特長がありますが、一方で、秘匿や偽装が可能であるという欠点もあります。

現在では、「自分の行動履歴を勝手に使われたくない」というユーザからの反発もあり、この流れを受けて、トラッキングを目的としたcookieの情報収集を許可しないという動きもあります。Internet Explorer10では、「Do Not Track」と呼ばれるトラッキング拒否機能がデフォルトで有効にされました。

一方、IPアドレスをベースにしたターゲティングは、秘匿や偽装が難しいという特長があります。そもそもIPアドレスは通信元と通信先を指定するための「宛先」として通信の土台を支えるものなので、秘匿や偽装を行うと正常な通信が成り立ちません。
もともと「宛先」であるIPアドレスには、cookieのように情報を記録する機能はありません。IPアドレスと何らかの情報を紐づけたDBを構築し、ユーザのIPアドレスと突き合わせることでターゲティングが実現します。そのため、情報の種類や精度は使用するDBに依存するという面があります。

cookieベースのターゲティングは住所を入力・選択した情報を反映させることはできますが、初回訪問のユーザやcookieの利用を拒否するユーザに対するターゲティングができません。しかしIPアドレスをベースとしたターゲティング技術であれば、こういった種類のユーザに対しても、最適な情報を届けることができるのです。

   

まとめ

・ターゲティングには、デモグラフィックデータやサイコグラフィックデータが利用される。
・ブラウザが提供する情報は、多様な情報を扱える一方、秘匿・偽装・オプトアウトされる可能性がある。
・IPアドレスによるターゲティングは使用できるデータが限られるが、秘匿や偽装の恐れが少ない。