IP Geolocationの歴史と海外事例

IP Geolocation(ジオロケーション)の始まり~アクセス地域の制御~

今から10年以上前、IP Geolocation(ジオロケーション)技術が一躍注目を集めるきっかけになった出来事として、フランスの反人種差別グループがヤフー・フランス社に対して起こした裁判があります。

フランス国内では、ナチスドイツ関連の品物を扱うオークションサイトは違法とされています。フランス版Webサイトである「yahoo.fr」からナチスドイツ関連のオークションにアクセスできませんが、「yahoo.com」からはアクセス可能な状態です。彼らは、フランスの法律を尊重しフランスからこれらのオークションへのアクセスを拒否すべきだと訴えました。
ヤフー・フランス社は、国境のないインターネット上でフランスからのアクセスユーザを区別することは技術的にできないと反論しました。
しかし、IP Geolocationプロバイダが検証した結果、当時のIP Geolocation技術で、フランスからのアクセスユーザのうち90%を判別できるということが実証されました。これにより、パリ裁判所は、フランス国内のアクセスユーザがこれらのオークションにアクセスできなくするように命じる判決を下しました。

この論争はフランス国内にとどまらず、アメリカ合衆国でも裁判が行われました。インターネットと国境、そして国ごとに異なる地域や文化と言った難しい問題をはらみ、2006年の決着に至るまで、実に6年にもわたる論争となったのです。

 

IP Geolocation(ジオロケーション)の始まり~広告の地域別配信~

アメリカでいち早く発展し、その後世界に広がった技術として、広告の地域別配信があります。
アメリカでは2002年に24/7 Real MediaやValueAd、そして2004年にはThruportなど、大手の広告会社がIP Geolocation技術を使った広告配信を取り入れています。

アメリカの国土は日本の約25倍です。インターネットは地域に関わらずコミュニケーションが行える便利なツールという面を持つ一方、全世界からアクセスできてしまうため、ビジネスと広告閲覧ユーザのミスマッチという大きな問題がありました。

これを解決したのがIP Geolocation技術です。国、県、都市、郵便番号単位で地域配信が可能なIP Geolocation技術を利用することで、特定の位置にいるアクセスユーザに対し、言語の切り替えや地域にあわせた内容など、的を絞った広告を配信することができるようになりました。

 

まとめ

・インターネットオークションをめぐる裁判をきっかけに、IP Geolocation(ジオロケーション)技術の認知が広まった。
・広告効果を高めるためにIP Geolocation(ジオロケーション)技術が使われ始めた。